「アンダースタディ」がくれた夏。

舞台「アンダースタディ」が9月1日初日を迎え、11日千秋楽を迎えました。あっという間の、でもあまりにも愛しい日々、2016年の夏はここにあった、最高で最高な夏だったときっと何度でも大切に振り返りたくなる季節になりました。そして振り返った時にきっと正しく「過去」にできるだろうと信じたくなる、ひろきくんのこれからを、未来を、懲りずにでも強く願いたくなるそんな舞台でした。

終わったらわりとすぐ切り替えられる性分だと思っていたけど、「アンダースタディ」に関してはかなり引きずる…と言うより、何だろうまだ観たいもっと観たいって普通に、今でも思ってしまいます。寂しいのも何だかじりじりと焦るような気持ちもギリッと痛いような感覚ももちろんあるのだけど、でもそれ以上に、そう、私は「アンダースタディ」のことが、ダイキとシュンとコータのことが大好きになってしまった。ただもう一度会いたいなって、そんなよく考えなくてもやばい思考回路なので、そのやばさも込みで舞台の、ひろちゃんの、コータのことを書いておこうと思います。

コータと言う男の子

公演が始まる前に発売されていたステスクやてれふぁんでひろちゃんが演出家の宮川さんから「仲田君みたいな好青年フェイスは、ちょっとイヤな奴風味で役を作ってもいいかもしれない」と言われたと言っていたので、コータどんな嫌な奴なのコータ、林くん演じるシュンのレッスンシューズに画鋲とか入れちゃうのコータ><って思ってたらコータめっちゃいい子だった笑。何ならダイキの「自分勝手なコータの」って台詞にさえいやいやいや!って言いたくなるくらい、コータと言う子は理想が高くて、真面目で、頑固で、感情的だし手は出るし相手に突っかかるし怒鳴るし苛々しがちだけど、でも相手をよく見ていてお芝居に一生懸命な、何よりとてもやさしい子だった。千秋楽にコータがコータとしてきれいに着地したなあと強く思ったのは、主役なんて断ろうかと思ったと言うシュンに放ったあの台詞の言い回しを聞いた時でした。
「辛いならやめちまいな、俺が代わりに舞台に立つ!」
9月2〜4日にわりと集中して詰め込んで観劇して、その次が千秋楽だったので、その間に既に変わっていたかもしれませんが、あくまで自分が観たものでの感想として。この台詞、一週目の週末の時にはわりと突き放すような「対シュン」な言い回しだったと思うのです。アンダーから主役になれた友達、立場が変わった分態度も変わったと苛立って、だけど変わらないといけない、自分たちと違わなければならないこともわかってて、そしてもちろん相手が憎いわけではないけどやっぱりもどかしくて突き放す。でも本当は突き放してなんてない、2人が支えてくれていることに安心したシュンを見てダイキと満足そうにハートを作るコータはとてもいい子だった。だけど千秋楽「俺が代わりに舞台に立つ」の時に突き放すように吐き捨てるように言うのではなく、感情が言葉が溢れて怒鳴ったように言ったあの言い方は「対シュン」だけではなく、コータの中にある自分も板の上に立ちたい、本役でお芝居をしたい、今すぐにでも演じたいそこへ行きたいって言う思いが、懸命に役者を目指している背景が詰め込まれているようで、私はあの声を台詞を聞いた時に表情を見た時に、ああ、コータはここにきたんだなあとうれしくて、自分の中にストン、と落ちるものを感じました。コータの中には相手への感情よりももっともっと自分の夢が目指すものが大きくあって、それを真摯に抱えているんだってより確かに思える場面でした。…ひろちゃんの意図するところと違ったらそれは本当にごめん笑。あとコータは何度でも言うけど本当にやさしくて愛しい男の子だった。だって普通仲直りのしるしにお互いの指と指でハート作る〜〜〜??「甘ったれんな!」って殴った(恐らく)数十分後に「友達として誇らしく思うよ」って言う〜〜〜?ってこれやさしいって言うよりどんな切り替えだよとも言うけど笑。引きずらない、3人の中では実はいちばん「男の子」だったんじゃないかなあ。

コータとシュン

私だってシュンちゃんになって「ミステイク!?俺悪者!?コーちゃんコーちゃんどうしよう!!」って言ってコータに「そうじゃな〜いよ?」って甘い声でやさしく両肩を撫でられたいし、「シュン、だまってろ」「シュン?だまってろ」って短いスパンで二度も言われたいし、シュッって耳に息吹きかけて「ちょっやめっwww」ってなったコーちゃんときゃっきゃしたいしシュンんんんんんんこの野郎ううううううううううううって350回くらい思った。350回に及ぶ嫉妬はともかく、この「シュン、だまってろ」の言い方も最初の方と最後ではちがったなあ。最初の方はそれこそ「コラッ!」みたいなちょっと叱るような言い方だったのだけど最後はもう何だか甘くて。すごくやさしく言い聞かせるような言い方で溶ける〜〜〜コーちゃんのいやひろちゃんの声でその甘さ溶けるやつ〜〜〜ってなった。個人の感想だけどコータはダイキよりもある意味シュンに対して甘かったなあと、何と言うかちょっとお兄さんぶってた。立ち飲み屋でもうアンダーはやらないって言い切った後にシュンに掴みかかられた時、コータはシュンとはほとんど取っ組み合わないんですよね。ダイキとはバチバチに取っ組み合うのに。掴みかかるシュンを避けながら、うわーん!って泣いちゃったシュンを見て罰が悪そうな顔をして、そして謝ってきたシュンに自分はごめんって言わないのもとても兄弟と言う意味でのお兄ちゃんだなって笑。俺もごめんね、仲直りしようの合図に「ん!」って指でハートの片割れを作って差し出すとかコーちゃん愛しいコーちゃん…コーちゃんちょっと年の離れた弟妹がいてだからシュンのこともそんな感じで見ちゃうのかな、弟妹がケンカしたら仲直り、ってハート作らせてたのかな…とまで妄想したのでコータとシュンのかわいらしさ罪深い。負けたくないけど情けないこと言ったら腹も立つけど上手く感情が噛み合わないことだってあるけど、だけどコータはシュンがアンダーから主役になった時に驚きをベースに複雑な感情があることがわかる、笑ってるような口元をうにうにさせているような表情をしていたけどやっぱり喜んでいて、土壇場で弱音を吐くシュンを殴りながらカーテンコールでシュンが浴びただろう拍手の大きさに「わああ!」ってここでも喜んでいて、ああ大事に思っているんだなって。あとシュンとコータは実は同じ目線でテンションでわちゃわちゃしてるのもとてもかわいかったよ〜かわいいしかない〜〜しかってことはないけど〜〜。

コータとダイキ

コータとダイキの場面で一番印象に残っているのは、2人で薄暮の虎の台詞を言う場面。「広がる荒野をまたにかけ」のあのセリフを言う時、ダイキから始まってコータが合わせて、ダイキの声に添うように唱えていたコータが最後に盛り上がる時にパン、と声を響かせて2人の声のユニゾンがきれいに響いたあの場面、上手側から観た時に膝を落として上体を傾けて構えるダイキとコータがあまりにもきれいで、乙女チックおばさんで申し訳ないけどまるで風が吹き抜ける草原の中に立っているようで本当に本当にきれいだった。あの時のダイキ、高田くんは表情と抑揚も含めてとても上手で、それに添うようにしてたコータ、ひろちゃんが最後に我を出すのがとても好きで、2人の空気をバランスをいつまでも見ていたかった。ダイキとコータだったし、あの短い時間は、これこそ勝手な妄想だけどもう一度並んだ高田くんとひろきくんだったのかもしれない、なんて、思いたくなりました。そしてダイキとコータはまさに友達!でしたね。取っ組み合いも手加減なしで、ダイキが掴んだコータの襟ぐりが千秋楽までもつかどうかちょっと心配だった笑。ミライを好きなあまりついついシュンに個人的な感情込みで注意をしてしまったダイキにコータは「人間らしいところがあるんだなダイキにも」「俺の知ってるダイキは自分のやきもちかもしれないって思っただけで言うのを控える男だ」「何だかうれしいよ、ダイキのしっかりしてるところって前から気に食わなかったんだ、人間らしいところを見られてうれしいよ」って言いながら茶化すようにからかうように絡んでいたけど、多分本当にうれしかったんだろうなあと、きっともっと自由に好きなように自分の気持ちを大切にしてほしいって思いがあったんじゃないかな、って思いました。だからミライちゃんを取り巻くのは三角関係だけじゃないよってダイキにはっぱかけたのかなーいやコーちゃんの性格かな笑。このダイキに畳みかける件、千秋楽でコータが腕を挟んでストレッチ、腰を落として膝に手、両腕を背中に回して組んで伸び、脚を横に開いて屈伸しながら畳みかけていて、それをダイキがマネして高仲田の動きがシンクロすると言うとてもとてもかわいい光景でどうしようかと思った…!そうそう、だからこそ、ダイキがシュンを舞台に立たせるためにミライちゃんの気持ちについて嘘を伝えた時にすごく慌ててたし、自ら彼女の手を離した時に「こんな馬鹿初めて見た!」って怒ったんだろうなあ。馬鹿って言うなよって言うダイキの顔を覗き込む時には少しニヤついてからかおうとしたのかもしれないけど、でも結局そんな気になれず最後に「ばぁーか、」って言う、あの「ばぁーか、」の言い方が怒っているような少し拗ねているような、でも自分がどうこうできるわけじゃないからそれ以上言えなくて、そんな思いが見えるようで2人ともが愛しかった。そして結局2人ともシュンに甘いって言うね。

コータと恩田マネージャー

コータが恩田さんに「おんださや事務所を背負って立つ」って宣言した事実があまりにも愛しいなとじわじわじわじわ思います。恩田さんが「女は男が言ったことを忘れないのよ」ってコータに顔を近づける場面、いろんな「顔近い」があったけど、驚いたような「顔ちかっ!」も白々しい感じの「顔ちかー」もちょっと生意気な舐めた感じの「顔ちかwww」もどれも好きだったけど千秋楽の照れたようなちょっとうれしそうな「顔ちかいっすね…」が最高にかわいくて恩田さんが「かわいい笑」って言ったのに精神的にめちゃくちゃ頷いたあまりにもかわいかった。「さやさん覚えてるんですか?」の言い方もかわいかったなー多分恩田さんはリーダー気質なんて無いのに背負いこんでしまうダイキや、いい子だけど空気読まないシュンのことの方を気にしてるかもしれないけど、コータが恩田さんを慕っている感じ、とてもかわいかったなあ…。

泣きたい者、パドブレ

恩田マネージャーの「泣きたい者、パドブレ」から始まるダンスは目をつむってがむしゃらに踊る3人は先が見えない中で突き進んでいくようでとても好きな光景でした。あと目をつむったまま汗を滴らせながら踊るひろちゃんは控えめに言って最高にエロかった。何度でも言いたいとてもきれいで最高にエロかった。

稽古、がんばろー!

ひろちゃんのパジャマ、チェックのパジャマ、羊柄の枕カバー、「気持ちを整理してみよう!」からの自己カウンセリング能力、「友達に対して申し訳ない」って唇を尖らせるところ、真面目でわりと引きずる、気にしいな感じが全部全部かわいかった…。コータがパジャマって言うのがとてもいい、稽古がんばろー!のポーズがいちばん激しいのもとてもいい、白地に黒(多分)チェックのパジャマだからひろちゃんの色の白さと相まって何かもう溶けていきそうだった。そして「恋愛で勉強が手につかない」のあの歌の「受験生じゃあるまいし〜」の「し〜〜」の音程の正解が最後までわからなかった…笑。

ダイキとシュンとコータとアンダースタディ

何度観ても3人でダイキの故郷で花火を見て、きれいだな来てよかったなーって言いながら暗転していく、あの夏が少しずつ終わっていくところで泣けてしまった。ダイキは好きな人と一緒には見られなかったけど、シュンとコータと笑いながら特等席で大事な景色を分かち合った。そしてきっと数年後、少なくとも年単位で時間が経過したと思われる最後の場面、かつて酔って騒いでけんかして歌って踊って暴れた立ち飲み屋は別のお店になっていた。今も3人が役者を続けているのか、本役を掴めているのか、はたまた別の道を歩んでいるのかはわからない、だけど「あの頃」を楽しそうに話す様子から、「あの時」の歌と踊りはもちろん覚えてるよって、パァッと明るくなった世界で笑顔で歌って踊るその光景から、わからないけど、だけどきっと良い風の中にいるんだって信じられるようなそんなラストを用意してくれていたことに、何てやさしい世界だろうって、そしてじゃにーずじゅにあであるなかだひろきくんのファンをやっている私にとって何て救いのある最後だろうって胸がいっぱいになった。相手じゃなくて自分と戦う、相手対自分じゃなくて自分が目指す自分対自分なんだって。迷ってもつまずいても、横並びだと思っていた仲間が一歩も二歩も先を行っても、変わっても離れても置いて行っても置いて行かれても、それで終わるわけじゃないしそれが関係の全てを決めるわけじゃない。だから何度でも笑い合える。勝手だけど、あまりにも勝手だけどそう思った時に、力強い光の中で堂々と歌い踊る3人の笑顔を見ながらうれしくてうれしくて泣きたいような笑いたいような、うん、とても幸せでした。

ひろちゃんのこと

最初に観た時は、正直シュンとダイキの役がちょっと羨ましかった。これは難しい、ひろちゃんコータは結構難しいね…って思ったんですね。ダイキほど心情が露わになるわけでも、シュンのように派手でおいしい役でもない(そしてまた高田くんと林くんめっちゃ上手い…)。この言ってみれば普通の、むしろ地味で物語において大きなエピソードの無い役であることに少なからず不安を抱いてしまいました。だけど、だけどあっという間にそんな不安を吹き飛ばしてくれたのもまたひろちゃんのコータでした。最初の方に散々語ったように、ひろちゃんはコータをとても一生懸命で頑固でやさしい、ちゃんと自分と戦う男の子に、とても愛せる男の子に作り上げてきた。大きなエピソードが無い分、物語に添い、その中で細かく変化を加えてきて楽しませてくれた。ひろちゃんの演技に対する貪欲さが、挑戦する姿勢がうれしかった。わりとそつなく何でもこなすようで(大体何でもできるから…へへっ…)負けん気の強いところがかわいいなあって思うと同時に、千秋楽の挨拶で「ぼくにはアンダースタディの方がいて」ってひろちゃんのアンダーをされていた川口さんのことを話して、「その方に、顔向けできる、舞台になったんじゃないかな、と」って言うときのひろちゃんは泣いてはいなかったけど、ゆっくり自分の感情を整理するように言葉を置いていて、そうそうガチャのオールアップの時とちょっと似ていたかな、その流れでアンダーの川口さんも舞台にって呼んだら泣いてらして、ひろちゃんうれしそうに笑いながら「とてもいい人で、ぼくと気が合います。じゃ、次!」ってバトンを渡して、もっともっと自分の話をしてくれてもいいのに多くを語らず周りの人を立てて、あと「2時間休憩なしで…お尻、お疲れ様でした^^」って客席のお尻を気遣って笑、ずるいなあと思った。でもまるっと全部大好きだなあと思った。
2015年の夏、「ドリアン・グレイの肖像」でジムを演じるひろちゃんを観て、この「初めて」はもう二度とない、そして「次」を願いながらもどうしても最後の最後まで「今」しかないことが苦しくてだけど大事で、何度も何度もこの目に焼きつけるために終わるのを阻止したいかのように劇場に足を運びました。演じ切ったひろちゃんを、共演者である周りの方々の言葉を、何よりも自分があの時見た光景を感じた未来を願う気持ちを、それだけを大切にしようとひろちゃんを見てきた中できっと2016年の夏の「アンダースタディ」はいくつもある中での一つの、そして最高の答え合わせだったなと思いました。ひろちゃんすごいなって何度も思った、同じくらいがんばれがんばれって思った、この愛しい一瞬だってまた絶対にそれ以上のものによって更新されていくのだと信じられた。
なかだひろきくん、舞台「アンダースタディ」お疲れ様でした、おめでとうございました。こんな夏は二度とないと思った2015年をあっさり塗り替えてくれたひろちゃんはやっぱりウルトラ最高な自担です。楽しかった、楽しかったね。コータとダイキとシュンと駆け抜けたあまりにも短い夏、花火の音、新橋駅から博品館劇場までの道、じりじりと待つエレベーターと駆け下りてたら目が回りそうになった階段、宝物です。

この夏がまたひろちゃんを次の場所へ連れて行ってくれますように。心から、願っています。