ドリアン・グレイの肖像@キャナルシティ劇場8/29 13:30/18:30、8/30 12:00

ピロティが4年半ぶりと言うことはこちらも4年半ぶりでしたキャナルシティ劇場。前回は森田さんとこのごちゃんの金閣寺でした。まさかまた来ることになる、それがひろちゃんが出演する舞台を観るためだとは、ピロティでも不思議にそしてうれしく感じたけどキャナルもなかなかのしみじみっぷりでした。しみじみ芸は本人しか楽しくないのだけど、でもしみじみしちゃったなあー建物も周辺もダンジョンすぎて今日終わって博多まで戻ろうと思ったら全然出入り口もバス停もわからなくて遭難するかと思ったけど笑。来ることはできたのに帰れないとはどういうことだと。何とか無事に戻って来れたので、福岡公演のことをつらつらと。

29日昼公演、ピクニックの場面でシートをふわっとやる時に、あれ?表情が違う?と思ったら「ロンドンは今日が最後なんだ」って言うジムが最初から怒っていて、そ、そんな最初から怒ってどうした!って笑。「新しい友達ができたって何で教えてくれなかった」って件を、突然怒り出すのではなくて最初からそこに向かう感じにしていたのかな?最初からムスッとしていたジムだけどシビルの空想話が始まると、相変わらずやさしい瞳でちょっと呆れたようにでもうれしそうに聞いていて、ひろちゃんが一人で決めて一人であれこれ変えているわけではないと思うけど(多分)、いろんなジムを観られて何と言うか楽しい…けど、私はもう何回も見ちゃってるからそう思うのかもしれなくて、果たしてどのジムも初見の人にとってちゃんと説得力のあるジムなのだろうけど、ついついそんなことを考えてしまいました。29日夜と30日はシートをふわっ!の時も「ロンドンは今日が最後なんだ」も、シビルへの好きの方が大きくて、表情も柔らかかった。もしかしたら最初から怒っていた方が流れは自然なのかもしれないし、原作に近いのはそっちかもしれない。でも私はシビルが生きててシビルのすぐ近くにいられる時にそれが「いちばん」になるジムの方が、ひろちゃんのジムとしては自然なのかな、と思ったので、最初はやっぱり姉さんとのピクニックが何だかんだでうれしいジムがいいなあと思いました。これから始まる新生活についてシビルが話す(空想じゃなくて、手紙を書いてね、の方)のを聞きながら、離れることが現実味を帯びて、なのに何だか得体の知れないお金持ちに恋しちゃってるシビルとその相手に感情が爆発するって流れはとても好きです。まあひろちゃんちょっと冷たい言い方が本当に冷たくてそれはそれで聞いていて興奮したのだけど…笑。そして大阪では感情の出し方に違いがあったように思えた呪詛の場面は福岡はかなり安定して、悲しみの表現はあまり感情的ではなく力が抜けたように、信じられない、と、呆然とするように。そして「お前の愛が失せた時、お前の命も失せていたのだと」を言い切った後、もう瞳は真っ暗にはならなかった。静かにでも決して揺るがない決意を表すジムの瞳の温度は低く、福岡のジムは本当に大人っぽかったなあ。二幕の阿片窟の場面も、29夜はナイフを出すのに手間取ったみたいだけど(前方の上手から観ていたのでよくわからなかった)表情がすごく良くなった。狂気をたたえて仇を見つけたことに歓喜していたような今までから、冷酷に、今までの18年間の重みが伝わるような、いや私が勝手に受信しているのだけど、でもそう感じられるような大人の男、でした。一言一句、言葉についてくる表情を覚えていたいのに手のひらからすり抜けていくような感覚はとても寂しくて、でも、声はすごく自分の内側で反響していてうれしくて。
欲目全開で言うのだけど、ひろちゃんは上手くなってる、と思います。ただのファンだし素人だし私が感じることはもしかしたら願望もあるのかもしれないけど、でも台詞の言い回しも、表情も、立ち振る舞いも、ちょっとした動作が、そんなものたちが良くなっていると思って、そう思えることがうれしくて、もっともっと観たいって思えることが幸せで、すごくうれしいです。毎日大好きだし東京公演でも大阪公演でももちろん大好きだけど、この福岡公演でぶわーーーーっと、大好きだーーーー!!!と思いました。大好きが溢れてちょっとどうしようってなる、どうもこうもないのだけど笑、でもこのどうしようって感覚が幸せです。あっと言う間に終わりが近づいていっそ苦しいけど、最後まで駆け抜けたい、です。